東京を歩こう

東京には空はないと智恵子は言ったし、世界は美しくなんてないってキノも言った。地下鉄に乗って大学と家とを往復するだけのまともな日常の中では東京なんてただのどうしようもなく混雑した街でしかないけれど、でも一歩踏み出してみて歩き回ってみると、この東京へは世界中の人たちが観光へ来ているだけのことはあるってことがわかるはず。いや、世界の人たちだけじゃない、むしろ東京(または黄蓋郊外)に住んでいるからこそ楽しめる街の作りがある。

…とか日記を書こうと思ったのだけど、夜にiPhoneでとっただけの写真は載せるにしのびないようなひどい写り方をしたものしかなかったため、断念。写真なしのコース説明だけするので、よほど物好きな人以外は読んでも面白くないものが以下続くよ。起承転結とかないし、笑いとか特にないですから。単なる散歩の記録。

西小山から先のルートを載せてみた。うちからだと27.5kmの距離だった。
http://www.chizumaru.com/route/alongroad/?routeid=9fe3ccf9eca94c29a3e3efbf376d02d0


さて。
15:30ごろにうちを出発してしばらく歩き、目黒線の線路にぶちあたったら、そのまま目黒線沿いに目黒方面へと向かう。
西小山や武蔵小山では、数年前に目黒線工事により駅が地下へと潜った関係で、それまで利用されていた土地がロータリーになったり緑道になりかけていたり東急ストアが建っていたりと、それなりに風景が変わっていた。西小山の某カレー屋さんも名前が変わってなんかデイオブサジタリウスみたいになってた。たぶんサしか合ってない。
緑道はまだ工事中で、砂利と言うにも少々雑すぎる、粒の揃わない小石の上が敷かれていた。入り口には、工事は終了していないが早めに住民に利用して欲しいため開放しているとの文言があり、おじいさんが犬を連れてのんびりと歩いていた。
武蔵小山を出てからは北東へ。…向かおうと思っていたのだが、交差点に「かむろ坂通り」と書かれていたのが気になり、急遽90度ほど方角変更。並木の中、坂を下ってみることにした。下った先はちょうど不動前を過ぎたあたり、山手通りに交差した。山手通りは辿って歩くと中目黒があり、既に見たことのある道へと収束してしまう。どうしようかなーと思ってiPhoneを開いてみると、真北に歩くと目黒駅があるとのこと。
目黒不動の交差点から目黒新橋まで道を歩く。この道は広くて整備されているわりに車が全然通らない。まあ、確かに山手通りを右折してまで通りたいコースではないか。
道を抜けると目黒通り。目黒の商店街のある坂の下だ。見覚えのある景色を昇っていくと、あった、目黒駅だ。ここまでおよそ一時間。

目黒まで来てから近くのランドマークを探してみると、何やら「国立〜自然〜園」とかあるのでそこの前を通るように歩くことに。べっ、別に聖心女子学院の前を通りたかったわけじゃないんだから!
そゆことで目黒通り沿いにてくてく歩く。自然教育公園の前を通ると、葛切りや鯛茶漬けなどを食せる落ち着いた雰囲気の店が見えた。今度行ってみたい。
しばらく目黒通りを歩いていると飽きてきた。ふと見た左の細い道には階段があり猫が座っているのが見えたので、ちょいっと入ってみることにした。東京ならではの雑然とした路地をくねくねと通っていくと、右手に塀が。これが聖心らしい。ちょっと歩いた先に「Sacred Heart」と書かれていて、ああ聖心ってセイクリッドハートなんだ!とひとり納得して満足するなどした。
聖心の脇の坂をてんてけと下っていくと、目の前には北里病院があった。色々とお世話になってるところだ。ふだんはバスで来るのであんまり地理感覚なかったのが、ここにきて目黒からここまでの位置関係が繋がった。

そっからてきとーに東に向かいつつ北上すると天現寺あたり。明治通りの上に首都高が乗っかってるおなじみのエリアにたどり着く。ここから北へ行くか少し東へ行ってから北へ行くかの二択がある。そのまま北へ行くと大使館がたくさんあるエリア、東へ行くと多少遠回りだが東京タワーがある。東へ行くことを決めた。
明治通り桜田通りだか知らない道を北上し、大通りの交差点で東へ曲がった。そろそろ足が疲れている。斜め前に東京タワーが見えてきた。
やはり適当なところで北方面へ入ってみると、その通りにはぼんぼりがたくさんぶら下がっていた。10/1〜10までお祭りをするらしい。なんでも、全国祭り大会みたいなところで賞を受賞したほどの祭りらしい。蕎麦屋の値段はすべて剥がれていたし、道もそれほど長くないし、なにより活気もなく、とても全国有数の祭りになるようには思えなかったが、なるらしい。そう主張してる方がニセモノに見えるけど。
祭りの通りを抜けると、いよいよ東京タワーが目の前に迫ってきた。ちょいっと通りの方へ出て行って歩道橋から見上げてみると、おおきいさすが東京タワー大きい。飛び出したい気持ちを抑えつつまっすぐタワーへ向かってみる。坂を昇る途中に寺があり、すぐ先に東京タワーがあった。ここまでで二時間半ほど。
そろそろ体が疲れてきたので、コーヒーショップで一休みする。チョコレートフローズン。あーエスプレッソ(d)にしとけば良かったかもなぁなどと考えつつ、20分ほどゆっくりして、またあてもなく出発。

東へ行くと浜離宮恩賜庭園があると村人が教えてくれたので、北へ向かうよりはと東へ向かう。多少北へ行ってから東へ歩を進める。愛宕警察署前を通り、目の前に公園が・・・!と思いきや、海岸通りが渡れない。悲嘆に暮れながら南下すること五分ほど、ようやく渡れるところを見つけ、目の前の光景に気づいた。あ、あれ伊豆大島に行ったとき行ったわ。そうだ、竹芝桟橋だ。東京タワーからは近いんだなーと感慨。んで、その前にも何やら見慣れたお店が。うん、私の友人が「ひとりでイベントいけないよう」と宣っていたので付き添いでついていったときに待ち合わせ時間より多少前についた私が時間を潰してたウェンディーズがあった。その前には都産貿。そのイベントは、えーとなんだっけ、ころすわよ、じゃなくて、それ無理☆みたいな名前のイベントだった。

で、北上。芝弥生会館の前まで来て先がないことを知って適当に歩いたら四季劇場へ向かう通用門みたいなのがあったのでちょっとそこ借りてなんとか復帰。本来の予定通り海岸通りの東側に到着する。やたらと広い恩賜庭園の脇をてんてけてくてくと歩いて行くと、そのど真ん中に入り口があり、入場5時までと書かれてたのを見たそのとき既に7時ごろ。残念ながらあきらめろん
そのまま恩賜庭園の端まで歩き、新大橋通沿いに築地を見て歩く。大きなトラックがたくさん出入りしているところを見かけ、噂の築地とはこれのことかーと思って近づいてみたら「入場禁止」の文字があり、落胆。仕方ないのでそのまま新大橋通を進んでいく。少し進むと、朝には競りをやっていそうな広場が目に入る。しかしここも入場禁止。進む。大江戸線の駅が少し先に見えた。
築地のどこかにはおいしいお店があるはずだと、足が疲れて空腹な私は思い、iPhoneの地図からそれらしきエリアを見てみるが、市場の中には入れない。とすると怪しいのは市場より少し先だろうか。市場橋の交差点の崎のあたりが雑然とした町並みで怪しい。
…などと思いそこへ行ってみると、これまた見事に魚のにおいのする寿司屋とどう見ても漁師ではないお客がたくさん居た。築地の市場に関する予想は当たっていた。
狭い通路の中にあったたねいちという店で海鮮丼\1,000を食べ、大満足して出た。学校の前でチェーンの海鮮丼食うよりは、築地へ出てきてサーモン丼とか食ってた方が圧倒的にいいや。
少し歩いて知ったことは、築地へ行くなら日比谷線の出口が便利だと言うこと。

食事どころから出て道を渡ろうとして、その道が晴海通りと言う名前だと言うことに気づいた。ビックサイト前の通りの名前じゃん!と思った私は正しくて、この道がはるばる国際展示場まで海上を通って伸びているらしい。
その道を渡って右手には築地本願寺。寺とは思えない建築物にびびるが、それ以上に寺がサークル活動してることにもっとびびる。

さらに少し北上すると、新富町。なんとバスケットボールのゴールがある。しかも、夜八時でもう人がいない。公園にはサッカーボールのゴールキック練習をしている快男児がひとりいるのみ。悪くないので、練習用にボール買っておこうかなあなどと考えている。
そっから通り沿いに北上すると、八丁堀。日本酒を飲める立ち飲みバーがあって、置いてある酒が久保田・浦霞・八海山という、ある方向では定番の品揃えだったもんで、ちょっと気になってる。今度行きたい。
さて、ここまでは恩賜庭園からはほぼひとつの通りを北上しただけであって、そろそろ私も飽きてくる頃。何かランドマークはないかなーと探すと、北北西に東京証券取引所があることに気づいた。よしそれじゃあそこを見て行こうということで、茅場町に着く前くらいで西に渡る。このあたりはさすがに土地柄が現れていて、証券会社かそれに準ずる金融会社ばかりが並んでいる。
永代通りを渡ると兜町。取引所が見えた。

ここからは北上するだけで秋葉原になるし、少し西に行けば東京駅。学校へ行くだけだったらもうすぐのところ。しかしそんな通り慣れた道を通ることはこの日の目的じゃないので、よし、と東に向かうことにする。目的?とくにないよ。
東京シティエアターミナル、なんていう楽しそうな名前が地図に見えたので、そこを目的にすることにした。目的にしたところで腹痛が始まった。生魚食ってすぐ動いたから、だろうか・・・腹が痛い。
橋を渡り蛎殻町のところで南東へと向かう。途中、「しょうゆってすごい!」「しょうゆ味っていいね」という看板が立っていて、なんだこれと思ったら目の前の建物の名前が「醤油会館」で、ひとりで笑いをこらえて写真を撮った。
そして道沿いに首都高の下を歩いていくと、隅田川へ出た。思わず「よーっしゃ!ついたっ!」などと声を出したらタイミング悪く真後ろに人がいて、表情は見えなかったが多分気持ち悪がられていたことだろうと思う。
川沿いには整備された歩道があって、それを見下ろすようにコの字型の建物が建ってた。なんとなくヘーベルハウスのAAをイメージした。読売ビルらしい。
読売ビル脇から川沿いに降りると、次の橋が来るまでは道路に戻れる階段はなかった。隅田川ではときどきちゃぽんちゃぽんと、魚が水面を揺らしていた。
隅田川から少し離れてようやく思い出した、ここへは東京シティエアターミナルを探しに来たのだった。で、どこ、というと、そんな特殊な建物はあたりに見えない。ウィキペディアで調べるとなんか駅だと言うし、絶望しかけたところで発見した。おお、すごい、成田に向かうバス等のためのターミナルステーションになっているのか。すぐそばに水天宮前駅への入り口がある。そして中には高級そうなお店が並ぶ。時計を売っているところ、バッグを売っているところ、それから見たところケーキ屋などもあった。しかし時刻は既に午後九時ごろなのであまり詳しいところはわからない。

シティエアターミナルからは、もう目標もなくなってくる。少し行ったところに浜町公園があるので行ってみる。遊具として置いてあったストレッチ器具で一回懸垂して力尽きて、公園から出てから明治座を見たらもうあとは馬喰横山・岩本町を経由して秋葉原までまっすぐと歩いた。時刻は21:50ごろ。
くったくたになりながらも、東大への残り30分ほどを歩く。いつものようにCOCO'sのところを通り孔子廟の横をすり抜け右手に神田神社を眺めながら歩けばもうお茶の水。そっからは、まあ本郷通りをちゃっちゃかと歩くだけだ。
途中本屋に寄ってキノ数冊買ってって、大学に着いたらすぐにトイレに駆け込んだ。夕食の腹痛はまだ治まってなかったんだよ!シティエアターミナルから先がおざなりなのはそのへんの事情。
で、研究室にたどり着いたら22:50ごろ。いやあへとへとだった。

実質徒歩時間が6h強でこれなので、目標とする一日10h歩きにはまだ体力が追いついていないようだ。
もっとリハビリしないといけない。