スピッツオタが非オタの彼女にスピッツ世界を軽く紹介するための10曲

まあ、どのくらいの数のスピッツオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないスピッツの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、スピッツのことを紹介するために見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「90年代ベストヒット」の正反対版だな。彼女にスピッツを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴うアルバムの丸ごと紹介は避けたい。できれば4分くらい、長くても6分以内にとどめたい。
あと、いくらスピッツ的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。クラシック好きがハイドンの「時計」は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。そういう感じ。

彼女の設定は

スピッツ知識は、いわゆる的なものを除けば、ミリオンヒット程度は聞いている
音楽的サブカル度は低いが、趣味はけっこう広い

という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。

チェリー(インディゴ地平線

まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「チェリー以前」を濃縮しきっていて、「チェリー以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。長さも4分19秒だし。
ただ、ここでインディゴ地平線トーク全開にしてしまうと、笑いすぎなナナとの関係が崩れるかも。
この情報過多なアルバムのこの作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。


恋のうた(名前をつけてやる)・フェイクファー(フェイクファー)

コレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうな曲(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
スピッツオタとしてはこの二つは愛のことばとしていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。



ラズベリー(空の飛び方)

ある種の童貞が持ってる女の子への憧憬と、草野さんの偏執的なヌードへのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもスピッツ
「童貞的なださカッコよさ」を体現する「僕」
「童貞的に好みなちょっぴり小悪魔系」を体現する「君」
の二人の関係の中で、活き活きと楽しそうにじゃれているであろう二人が見えてくるのが、紹介してみたい理由。

青い車(空の飛び方)

たぶんこれを聞いた彼女は「白線流しだよね」と言ってくれるかもしれないが*1、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の作品がその後売れ線として続いていくこと、これがドラマのエンディングで大人気になったこと、B面の「猫になりたい」が名曲で、それがA面になってもおかしくなかったのに、アルバムにすら入れられず5年後に「花鳥風月」が出るまで日の目を見ることがなかったこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。


サンシャイン(空の飛び方)

「やっぱりスピッツは中学生っぽいよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「Y」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかける草野さんの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削って[[要出展]]それでも5分24秒、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
サンシャインの長さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれがミスチルだったらきっちり4分40秒にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて[[要出展]]5分24秒を作ってしまう、というあたり、どうしても「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえ草野さんがそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。


田舎の生活(オーロラになれなかった人のために)

今の若年層で「オーロラになれなかった人のために」聞いたことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
「君が思い出になる前に」よりも前の段階で、草野さんの哲学とか風景描写とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの作品が音楽界でこの時代にかかっていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくスピッツ好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆるベスト盤でしかスピッツを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。


不死身のビーナス(空の飛び方)

草野さんの「目」あるいは「言葉選び」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「素敵な思い出ずっと忘れないよいつまでも」的な感覚がスピッツの曲には共通してあるのかなということを感じていて、だからこそアニメ版『ハチミツとクローバー』最終話はやっぱり「田舎の生活」以外ではあり得なかったとも思う。
「最低の君を忘れない」というスピッツオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、そういう気運の源はこの頃のスピッツにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。

グラスホッパー(ハチミツ)

これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういう「スピッツのロック」な曲調に乗せて、草野さんの大好きな「虫」というかたちで愛の営みを表現してる、それが非スピッツオタに受け入れられるか、気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。

春の歌(スーベニア)

9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に春の歌を選んだ。
チェリーから始まって春の歌で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、株式会社グラスホッパーが独立して音色も変わった三日月ロック以降のスピッツの先駆けとなった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。


というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
「駄目だこのすーじーは。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。



元ネタ: http://anond.hatelabo.jp/20080721222220
「マイ ドキュメント」を漁っていたら見つかったのでyoutubeからURLを探したりした。今は公開している。

*1:違う